アーキラボ ロゴ ArchLab 建築環境設計ツールズ

第1部 / 全6部

この記事の章

1. まず知っておきたいこと

ArcClimateのデータは「観測所の実測値」ではありません

ArcClimateは、指定地点で直接観測された気象データを返すものではありません。気象庁のMSM格子点データを基に、次の処理を行って指定地点の値を作成します。

観測所とMSMの関係
ここでいう観測所とは、気象官署やアメダスなど気象庁の観測拠点のことです。MSMは、これらの観測値を平均・内挿したものではありません。地上観測に加え、気象レーダー、気象衛星、ラジオゾンデ(気球による上空観測)、航空機観測など多様な観測データをデータ同化という手法で取り込んで計算開始時点の大気の状態(初期値)を作り、そこから物理法則に基づくシミュレーションで各格子点の値を計算した結果です。つまりMSMの格子点値は、観測に裏付けられてはいるが、特定の観測所の実測値そのものではない値です。

全体フロー

  1. 気象庁の観測網 気象官署・アメダス・レーダー・衛星・ゾンデなど
  2. データ同化:観測を初期値に反映 → 物理法則で将来を計算
  3. 気象庁 MSM 予報データ(約5km格子)
  4. 1時間ごとの連続した時系列へ接続
  5. 絶対湿度・日射量・下向き大気放射量などを算出・推計
  6. 指定地点を囲む4つのMSM格子点を選択
  7. 格子点と指定地点の標高差を補正
  8. 指定地点までの距離に応じて空間補間
  9. 指定地点の複数年データ → 実在年データ/EA方式で標準年を作成

このデータが表すもの
気象庁の数値予報モデルを基に、指定地点について補正・推計・補間した建築設計用気象データです。

MSMはいつからあるのか

「もっと昔から長期間のデータを使えないのか」と思うかもしれません。MSMは比較的新しいデータで、遡れる期間に限りがあります。

時期できごと
2001年3月MSMの本運用開始(当時は10km格子・1日4回・18時間先まで)
2006年3月約5km格子へ高解像度化、配信が1日8回に(現在の基本形)
2013年5月予報時間が最長39時間に延長
2017年12月日射量要素の配信開始

現在と同じ約5km格子での配信は2006年以降、日射量の配信は2017年12月以降に限られます。ArcClimateの基本データセットは2011年以降を対象としており、MSMに日射量が含まれない期間は、雲量・気温・湿度などからの推計日射量で補っています(第4部 5.5を参照)。

MSMの変遷の詳細は気象業務支援センターのMSM解説ページを参照してください。